結婚式のご案内

神前結婚式について

鎮守の杜の結婚式

近頃、結婚式や披露宴の形式が少しずつ変わり始めています。多様化とも取れるが、豪華さから地味へ、既製から手作りへ、画一的から個性的へと若者の視点が一定の流れを持って移り始めました。豪華でファッションを重視した現代の婚儀はともすれば本義を失いがちです。形式的で意味の分からない挙式を省いたり、海外の憧れの教会で式を挙げる地味婚や海外挙式もこうした現れではないでしょうか。

かたや、本当に心のこもった「本物の結婚式」を求める動きも有ります。いつの間にか私たちの心から失われていたものを求める復古的な動きともいえます。
自然の光、緑、風の中で二人の結婚をのみ見つめるシンプルで身近な挙式。30年ほど前ならごく普通に行われていた本当の神前結婚式、言うなれば「鎮守の杜の結婚式」とでも呼べるでしょう。

私たちの国 日本の結婚式

考えてみれば、世界中のどの国の結婚式を見ても、民族色を大切に守り伝えています。それぞれの国の風土や文化、宗教によってはぐくまれた結婚式はその国の財産といっても過言ではありません。また、その意義は、二人への祝福と共に、多難なる船出を力強く押し出す大切な役割を担い、二人の初心として末永く心に残る絆としての意味があります。日本の神前結婚式も、もちろんこの大切な役割があります。

日本の神々のことを八百万(やおよろず)の神というのをご存じですか。私たちの国は本当に豊かな自然に恵まれていて、この恵みに感謝し、時に厳しく荒れ狂う自然を恐れてきた民族です。こうした風土の中で、自然の働きや祖先、心、生活の仕組み等のめぐりを魂と感じ神様としました。
何時しか自然の働きを魂と意識する感性を身につけたのです。結婚式の起源も日本神話の中にあり、神代の時代に遡ります。

平安時代の宮廷や貴族の間で行われていた婚儀は今の皇室のご婚儀に受け継がれています。一般に於ける婚儀は武家の作法として室町時代初期からの伊勢流、同時代後期に確立する小笠原流の流れを汲みますが、家と家との結びつきを考える婚儀は、この礼法に引き継がれる以前に同様の儀があったことが想像できます。その作法は家々の床の間のある座敷に神様の名前の書かれた掛け軸を掛け、そのご神前で三三九度の盃が交わされたのです。そして、明治33年5月10日、皇太子嘉仁(よしひと)親王殿下(後の大正天皇)と九条節子(さだこ)様による賢所(かしこどころ)のご神前でのご結婚の礼が行われ、このご慶事を記念して明治34年、東京の日比谷大神宮(現在の飯田橋・東京大神宮)が、それまでの伝統的婚儀をさらに発展させ、一般の人々に向けた神社に於ける結婚式を創始し、現在に至ったのです。

つまり、日本に於ける結婚式は永い歴史の中で少しずつ形を変えながらも一 貫して神前で行われて来ました。

神前結婚式

最近の結婚式を考えた時、見栄え、格好の良さを重視した実に形式的なものになっているような気がしますが、実は二人の新しい生活の出発点であり大変重要な儀式だと思います。しかし、儀式はその意義をよく理解し、心を込めなければなりません。そこで、日本人の結婚観を一つご紹介しましょう。

日本の国は、豊かな自然の風土を有しています。こうした恵みを頂いてきた日本人は自然の働きや巡りを心のある魂と感じ、神様としました。またこれと合わせ、祖先の魂、心の魂の現れも含めて神様と考えたのです。ですから沢山の神様がいらっしゃるという意味で八百万の神と呼ばれるようになったのです。この中には夫婦の魂を司る神様もちゃんといらっしゃるのです。「いざなぎの神、いざなみの神」というお名前の神様です。
この二人の神様は古事記、日本書紀の神話の中で、日本の国を産み、沢山の神様をお生みになった話が記されています。そして、日本の国の神様のお名前をよく見てみるとその中に神様の特性が含まれているのです。
「いざなぎ、いざなみ」は、「いざない、いざなう」つまり「ひきつけ、ひきつけられる」「つれそい、つれそう」という夫婦の働きを表した御神名なのです。
神前式はその夫婦の神々に、真の心を捧げ、良き魂を頂くところにあります。その魂を持ち帰り夫婦の見えぬ絆として生涯大切に見つめ、しっかりと温かい絆に育んで頂ければと存じます。

お二人は全く別のご家庭でお育ちになり、生活習慣やペースが全く違うと思います。結婚前は良いときだけ会っていれば良かったのですが、夫婦となると良いときも悪いときもいつも顔を合わせなければなりません。時には好きな相手でも嫌気が差すこともあります。お互いの生活習慣の違いを口論することも必ず有りましょう。これは覚悟して下さい。しかし、これを乗り越えて、お互いに理解し合い、新郎家でも、新婦家でもない、お二人の夫婦の魂が生まれてくるのです。(出来れば、両家の良き習慣を受け継いでその上で新たな家風を作って欲しいのですが。)そして、いずれお二人にお子さんが出来「夫婦のみたま」から「家庭のみたま」へと移り変わるのかもしれません。結婚式にはこのことを心に刻んで、臨んでください。

御来社いただいた折りには結婚式に臨むに当たって必要と思われる話や式次第(結婚式の手順)にそった儀式の意味や心構えを出来るだけ分かり易くご説明いたしたいと思います。

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